事前調査の不徹底による不適切な建築物解体事例
石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)第3条では、事業者は、建築物、工作物又は船舶の解体、破砕等の作業(改修の作業を含む)を行うときは、あらかじめ、石綿及び石綿を0.1%を超えて含有するもの(以下「石綿等」という。)の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録しておくこと、及び当該調査結果の概要等を掲示することを定めている。
しかしながら、事前調査を行わなかったり一部分のみを調査して網羅的な調査を怠ったりしたために、必要な届出を行わずに解体が行われた事例が発生している。【下記2件の災害事例参照。事例は厚生労働省化学物質対策課にて把握されたものである。】
事例11 発生日時 平成23年11月
2 作業の種類 石綿含有保温材が使われた建築物の改修工事
3 災害発生状況
石綿含有の認識がないまま保温材の除去作業を実施。同じ時期に同じ施工者により建てられた同型の建物からは、作業を行った箇所と同一の箇所(部材)に石綿が使われていることが判明した。
4 原因
不十分な事前調査の結果に基づいて工事を行ったこと
5 対策
1) 事前調査を適切に実施し、結果を記録すること。
2) 発注者は、石綿等の使用状況等を適切に伝達すること。
事例21 発生日時 平成24年1月
2 作業の種類 吹付け石綿が使われた建築物の解体工事
3 災害発生状況
3階建ての建物の解体工事で、1階部分の吹付け材を分析したのみで建物全体に石綿無しと判断したが、廃材から石綿が見つかり、他の階では石綿が使われていたことがわかった。
4 原因
不十分な試料採取に基づく分析。
5 対策
1) 設計図書や改修記録から、同一施工の範囲をあらかじめ確認すること。
2) 必要な数の試料採取を行うこと。
再発防止対策1 事前調査と結果の記録、掲示の徹底1) 事前調査は、的確かつ網羅的に行うことができるよう、一定の知識及び技能を有した者が行うことが望ましいこと。また、必要な調査箇所の見落としを防止する観点から、写真や図面により調査した箇所を調査結果に記録することが望ましいこと。また、調査終了年月日、調査方法及び結果の概要については、作業場に掲示する必要があること。(別紙2=省略)
2) 目視及び設計図書等による調査により、石綿等の使用がないことが明らかになった場合でも、その旨に加え調査方法や調査場所等を記録し、かつ掲示するよう徹底すること。
3) 内壁、天井、床、屋根、煙突等に使用されている成形板その他の建材等について、石綿の使用の有無を確認するには、国土交通省・経済産業省の石綿含有建材データベース
http://www.asbestos-database.jp/、 社団法人日本石綿協会、建材メーカーのホームページを活用する方法があること。
2 分析による調査1) 建材等が吹き付けられている場合には、石綿則第3条第2項に基づき、石綿等の使用がないことが明らかである場合を除き、分析による調査を行うこと。
2) 石綿等の使用の有無の分析による調査に当たって、試料の採取が不適切であると、含有する石綿が適正に計測されないおそれがある。特に、建築物等に後年の補修又は増改築がなされている場合や、吹付けの色が一部異なるなど複数回の吹付けが疑われる場合には、吹き付けされた場所、時期ごとに試料を採取してそれぞれ石綿の有無を判断するよう留意すること。ただし、複数の区画又は階にわたり吹付けがなされた建築物等であっても、設計図書等により同一かつ均一の施工であることが確認された場合にあっては、各区画又は階における試料の採取は必要ないこと。
3) 建材等の採取及び分析に当たっては、必要に応じて、次のア、イ又はウを参照すること。
ア 「石綿含有建材の石綿含有率測定に係る講習会テキスト」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/mortar/index.html イ 「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル」(環境省)
http://www.env.go.jp/air/asbestos/litter_ctrl/manual_td/index.html ウ 「新版 建築物等の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」(建設業労働災害防止協会)
4) 石綿等の使用の有無の分析を分析機関等に行わせる場合には、社団法人日本作業環境測定協会が行う石綿分析技術の評価事業において、Aランク又はBランク認定分析技術者の資格を有する者に分析を行わせることが望ましいこと。(ホームページ
http://www.jawe.or.jp/jigyou/seido-s/ishiwata/#agencyに掲載。)
3 呼吸用保護具の使用1) 建築物等の解体等の作業においては、作業に伴って粉じんが発生するおそれがあることから、事前調査の結果として石綿等の使用がないことが確認された場合であっても、防じんマスク等の呼吸用保護具を使用すること。
2) 石綿則第14条に基づき隔離等を行った作業場所において、吹き付けられた石綿等を除去する作業に労働者を従事させるときは、電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク等を使用させなければならないこと。
(以上の再発防止対策は、平成24年2月13日基安化発0213第1号労働基準局安全衛生部化学物質対策課長から都道府県労働局労働基準部長あて「建築物等の解体等の作業における事前調査の徹底等について」に基づくもの。)
労務安全情報センター
http://labor.tank.jp
posted by labor at 12:37|
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