2012年06月06日

運搬船3人死亡、酸素濃度、適切に測らず



1 災害発生状況等(新聞報道)

”  大分市の日鉱製錬(現パンパシフィック・カッパー)佐賀関製錬所で2009年6月、接岸した鉱石運搬船の船倉に入った作業員3人が酸欠で窒息死した事故で運輸安全委員会は27日、定められた方法で酸素濃度を適切に計測していなかったことなどが原因とする調査報告書をまとめた。

  船倉内は当時、積み荷の銅鉱石が酸化して酸素が消費され、不要な鉱物を取り除く薬品から有毒ガスも発生。

  安全委は、同社や3人が所属していた荷役会社「日照港運」(大分市)に、銅鉱石を扱う際の危険性を従業員に教育するよう勧告した。

  報告書によると、事故前に計測、記録した酸素濃度の数値に問題はなかったが、計測する場所をそのつど変える方法だったため、船倉全体の状況を正しく把握できなかったと分析。

  日照港運が事故に備えた訓練をしておらず、救助者が犠牲になったと指摘している。 ”

  (以上、平成24.4.27日本経済新聞夕刊記事から)




2 原因及び再発防止対策(運輸安全委員会)

(原因)

 定められた方法で貨物倉の酸素濃度計測を行うよう指導していなかったことは、本事故の発生に関与した可能性がある。

(対策)

1)  荷役に携わる可能性がある全ての従業員に対し、硫化銅精鉱の性状及び危険性を教育すること。

2)  荷役に携わる可能性がある全ての従業員に対し、必要に応じて安全、かつ、確実に酸素濃度を計測できるよう、酸素濃度計の取扱いを教育すること。

3)  浮遊選鉱剤のMSDSを荷送人に請求すること。

4)  硫化銅精鉱に付着した浮遊選鉱剤によっては、有害なガスを発生し、また、空気より重いそれらのガスが貨物倉に滞留し、空気との置換を妨げる危険性があることを荷役に携わる可能性がある全ての従業員に周知すること。

5)  荷役に携わる可能性がある全ての従業員に対し、酸素欠乏及び酸素濃度欠乏症の危険性を周知し、また、硫化銅精鉱が積載されている貨物倉内で人身事故が発生した場合の対処法を適切に指導及び訓練して習熟させること。



(参考)
 なお、運輸安全委員会の勧告書の内容等は以下のURLから直接参照することができる。

 ⇒ http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/ship-houkoku.html



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ゴム製品の劣化防止剤貯蔵タンクの清掃作業中に「アニリン中毒」

”  川口市柳崎一の「精工化学」川口工場で2012.5.29午後、円筒状の薬品タンクを清掃中の男性作業員4人が体調不良を訴え、うち2人が一時、意識不明の重体になった。

  工場によると、清掃会社Yの作業員4人は、約40年使ったゴム製品の劣化防止剤の貯蔵タンク3本(直径約2〜3メートル、長さ約4〜7メートル)を廃棄するため、清掃していた。

  タンク内は空だったが、毒性がある化学物質アニリンが汚れとして付着。

  作業着から皮膚に浸透したか、タンク内を高圧洗浄中のしぶきが肌に付着するなどし、中毒症状を起こしたとみられる。

  29日午後4時ごろ、吉沢工場長が「気分が悪い」と訴えた4人の様子を見に行くと、唇が青くなる「チアノーゼ反応」を起こしていた。立ちくらみなども見られたことから、アニリン中毒の症状と判断し、病院へ連れて行った。川口署によると、四人は快方に向かっているという。

  川口労基署は「原因などは捜査中」としているが、労災事故として認定する方針。
  埼玉労働局によると、記録が残る2007年4月以降、県内ではアニリン中毒による事故は報告されていない。”
  (以上、2012.5.31東京新聞埼玉版記事から=抜粋)


 [参考]
 アニリンの毒性等について

 「国際化学物質安全性カード」下記URL参照。
 
 ⇒ http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0011c.html



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自動車部品工場-溶解炉表面に浮いた不純物を取り除く作業中、転落死

” 2012.5.8午前1時5分ごろ、愛知県西尾市の自動車部品製造会社アイシン高丘吉良工場から,「溶解炉に人が転落した」と通報があった。

  中から人骨の一部が見つかり、警察は同社社員の男性(58)とみて、身元や事故の状況を調べている。

  警察によると、溶解炉は直径1.2m、深さ2mのコップ形で埋まっているが、上部の70cmほどが床から出ている。

  自動車のブレーキ部品を作るため、約1500℃の熱で鉄を溶かす。

  男性は、別の社員(22)と2人一組で溶解炉の表面に浮いた金属の不純物を取り除く作業をしていた。
  7日午後11時20分ごろ、社員が別の場所に材料を取りに現場を離れ、15分後に戻ると男性の姿がなく、溶解炉内に異物が見えたため、上司に連絡した。”(2012.5.8付け中日新聞、同日読売新聞記事から)

(続報)

” 8日午前1時5分ごろ、愛知県西尾市吉良町瀬戸長坂の自動車部品会社「アイシン高丘」吉良工場で、男性社員(22)が、溶解炉の中に人骨の一部があるのを見つけた。
  県警西尾署は、付近で作業していて行方が分からなくなった社員のI.Kさん(58)とみて、身元確認を進めている。

  同署によると、2人は7日午後8時から、ベルトコンベヤーで鉄を炉に入れる作業をしていたが、周囲にこぼれた鉄を手作業で入れていた。以下省略、”(2012.5.814:10毎日新聞配信記事から)


 [コメント]

  想像を絶する悲惨な事故事例の一つだ。
  作業内容も正確に確認が取れない。
  「溶解炉の表面に浮いた金属の不純物を取り除く作業」?(中日、読売)
  「鉄を炉に入れる作業をしていたが、周囲にこぼれた鉄を手作業で入れていた」?(毎日)
  災害発生状況の詳細に不明な点があるが、結果的に見て、作業中、労働者が溶鉱炉に転落する「おそれ」のある「構造」だったということか?

  (原因等について続報があれば、随時掲載したい。)



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