2012年08月21日

工事現場でアルバイト中の中学生が、壁の下敷きに(死亡)

(以下は、日経新聞2012.8.7記事から)

 「群馬県桐生市の中学校体育館の工事現場で6日、アルバイト中の栃木県足利市の中学3年、I君(14)が崩れた壁の下敷きとなり意識不明の重体となる事故があり、I君は7日、搬送先の病院で死亡した。

 桐生署によると、I君は6月ごろから群馬県太田市の会社でアルバイトとして働いていた。
 労働基準法は「15歳になって最初の3月末」まで原則として雇用を禁じており、事故原因と雇用の経緯を調べている。
 事故は6日午後2時40分ごろ、体育館の耐震改修工事によるがれきの撤去作業中に起きた。I君は、人手が足りないため急きょ呼び出されたという。
 消防によると、I君の年齢は119番で「18歳」と伝えられた」


【この記事には続報がある】
続報1 (I君の就労と中学校の認識)
 「足利市立西中学によると、I君は7月、担任教諭と保護者との三者面談の場で、この会社で働いて日当5千円を受け取っていることを学校側に打ち明けた。もう1人の生徒も日当を得て働いていることを認識していたが、学校から具体的に注意は行わなかった。学校側は「職場体験として働くことを許可し、日当は弁当代などの経費と認識していた」と釈明している。 (日経新聞8月9日夕刊記事から)」

続報2 (I君を雇っていた解体会社社長)

 「I君を雇っていた群馬県太田市の解体会社の社長(45)が「計約20人を、自分が経営するリサイクル会社で雇っていた」と明らかにした。社長によると、約20人は足利市の中学4校の生徒で、7〜8年前から働かせていた。社長は「中学生ということで一度は断ったが、中学校や親からの強い依頼(編注*)があり、アルバイトとして雇い、お金も払っていた」と説明している。(日経新聞8月10日朝刊記事から)」

(編注*) 社長の言い分に過ぎないかも知れない


[編注,コメント]

今回の労働災害の被災者は、「中3=14歳」だ。

(法制面の確認)
満15歳未満の児童に係る労働基準法の規定は、概要以下のとおりである。

「工事現場での使用は、いかなる状況下でも認められない!!!」

労働基準法第56条1項 「児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。」(罰則119条 違反した者は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する)
これには、(児童の親及び学校長の承認がありかつ)「所轄労基署長の許可をを受けた場合は、満13歳以上(子役等の場合は13歳未満も可能)の児童を使用できる」という例外規定がある(同条第2項)のだが、工事現場での使用は、例外扱いの対象外であり、「満15歳未満の児童」は、いかなる状況でも使用できない。

今回事故には、例外規定の適用余地のないことから「明白な違反行為がある」と言えそうだ。
事件は刑事事件として捜査されよう。
余談だが記事に日当5,000円を受け取っていたとあるが、群馬の最低賃金時給は690円だから、一日8時間労働をするのであればこれはこれで問題がありそうだ。

(雑感)
しかし、中学校の、労働法に対する不勉強は相当なものだ。

加えて、
記事中に「学校側は「職場体験として働くことを許可し、日当は弁当代などの経費と認識していた」と釈明している」ことにも驚いた。
このような嘘は、すぐ「ばれる」ことなのに、、。
職場体験の意味も、弁当代などの「経費と賃金」の関係も何もわかっていないのだろうに、思いつきの言葉を並べている。

今回の死亡災害について法的責任があるのは、I君を使用していた解体工事業者(119番の際に、被災者について「18歳」と伝えていることから、法律違反は100も承知だったようだ)であるのに、
学校側の対応に注目が集まるのは、どうかとは思いつつも、
ここまで、呆れるような「責任転嫁といい逃れ」言辞を弄する学校の問題にも、言及しない訳にもいかない。



労務安全情報センター
http://labor.tank.jp
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posted by labor at 12:19| Comment(0) | 個別災害事例

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