2013年03月31日

飲食店における「切れ、こすれ」災害の特徴と対策について

以下は厚生労働省労働基準局安全衛生部による
飲食店における「切れ、こすれ」災害の分析結果

飲食店の切れこすれ災害24-9.JPG
 ↑ 表は、飲食店における平成24年9月末時点における速報の労働災害


飲食店における「切れ、こすれ」災害の分析結果


1) 刃物による災害

○ 包丁等、食材加工用の刃物による「切れ、こすれ」災害は全体の約4割。
○ そのうち、材料の仕込み等の作業中に誤って手などを切った災害は約9割とほとんどを占めており、作業中によそ見をしたために被災したものも見られた。
○ 残りは包丁を研ぐ、拭く、といった作業中の災害などであるが、別の作業をしている時、片付けずに放置していた包丁に触れてしまった災害など、4S(整理、整頓、清掃、清潔)が徹底されていれば防止できたと考えられるものも見られた。


 対策

 ア 刃物を取り扱っている際には細心の注意を払うこと。特に、よそ見等、作業中に刃物から目線を外すようなことはしないこと。

 イ 4S(整理、整頓、清掃、清潔)を徹底すること(刃物も含め、使い終わった用具は所定の保管位置に戻し、作業場所に放置したままにしない)。




2) 割れた食器による災害

○ 割れた食器等(皿、グラス、ジョッキ等)による災害は全体の約3割5分。
○ そのうち、食器等の洗浄、あるいは洗浄後の拭きとり中に食器等が割れて手などを切った災害が約7割を占めている。
○ その他には、割れた食器等がシンクに混入していたことに気づかないまま洗浄作業を行って手などを切った事例のほか、床に落ちて割れた食器を片付ける際に破片を直接手で拾って切った事例などが見られた。


 対策

 ア 食器を洗浄する場合には、手先を保護するためゴム手袋等を使用することが望ましいこと。

 イ 割れた食器等を片付ける際には、ほうきやちり取りを使用する等により、直接手で破片を触るような作業方法は避けること。




3) 缶の鋭利部分による災害

○ 缶の蓋など缶の鋭利部分で切った災害は全体の約1割。
○ そのうち、缶を開けた際に手などを切った災害は4分の3を占める。缶切りを使って開けた缶の蓋のほか、プルトップで開ける缶の蓋で切った事例も多い。
○ 残りは、缶に廃油を入れてこれを廃棄する際に誤って切った事例などであるが、空き缶を踏みつぶして容積を小さくする、といった安全確保の観点から適切とは言えない作業により被災した事例も見られた。


 対策

 ア 缶を開ける時には、缶の種類(缶切りを使用して開けるもの、プルトップで缶上部を開けるもの)に関わらず、缶開口部の縁、蓋の縁が鋭利部分となるため、不注意による切傷のリスクがあることに留意すること




4) 食品加工用機械による災害

○ 食品加工用機械による災害は全体の約1割弱で、食材の加工中の災害のほか、詰まりの除去等機械の掃除中の災害などが見られた。
○ この中には、機械を稼働させたまま詰まりを取ろうとして被災した事例や、機械のガードを外したまま作業を行って被災した事例など、不適切な作業による災害が4割近く発生している。


 対策

 ア 機械の点検、修理、掃除をする時には、機械を確実に止めたことを確認してから作業を行うこと。

 イ 刃物部分のガードを外す等、安全確保の観点から不適切と思われる方法での使用はしないこと




5) その他

○ 上記のほか、中に焼き鳥串や割れた食器など鋭利物が混入しているゴミ袋を廃棄しようとして持った際に当該鋭利物によって被災した事例などが見られた。


 対策

 ア ゴミの廃棄等作業について、焼き鳥串や割れた食器等が混入している可能性もあることに留意し、ゴミ袋の運搬、廃棄に当たっては軍手やエプロン等を使用することが望ましいこと。

 イ 現在行っている作業についてのリスクアセスメントを実施すること。特に、機械を使用する作業について、使用する機械等のリスクアセスメントを実施し、その作業におけるリスクを特定し災害防止対策を講じること





(参考)
以上の災害分析の結果は、以下の通知されている。

厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長から都道府県労働局労働基準部長あて「パン、菓子製造業における労働災害防止対策の徹底について」(平成24年11月22日基安安発1122第3号)



労務安全情報センター
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パン、菓子製造業における労働災害の特徴と対策について

以下は厚生労働省労働基準局安全衛生部による
パン・菓子製造業における労働災害の分析結果

パン菓子製造業の災害H24-9.JPG

 ↑ 表は、食料品製造業のうち、パン、菓子製造業の平成24年9月末時点における労働災害

1) 「はさまれ、巻き込まれ」による災害

 全体の約9割を占めている。
 作業別にみると、次のような「非定常作業」における災害が全体の約8割を占める。
 1) 機械の清掃作業中の災害が約3割、
 2) 機械に付着した生地や包装紙等を除去する作業中の災害が3割弱
 3) 機械の修理・調整中の災害が約2割
 災害の要因としては、
 ○ 機械を止めないまま点検、修理、清掃等を行って被災した災害が約6割を占めている。
 ○ その他、機械の誤操作により被災した災害、機械のガードがない状態(ガードを外した状態を含む)で作業を行って被災した災害がそれぞれ約1割みられた。
 ○ 機械以外の「はさまれ、巻き込まれ」災害は全体の約1割であるが、そのほとんどは荷の運搬に際しての災害(人力運搬機(台車、ハンドパレットなど)にはさまれる等)であった。
 

 対策

  ア 機械の点検、掃除、修理等、非定常作業を行う場合には、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。

  イ 機械に生地や包装紙等が付着したような場合に、これを除去する作業(以下「除去等作業」という。)は、通常の作業中に発生するケースもあり、特にそういうケースにおいては機械を止めずに作業を行ってしまいがちである。しかしながら、本来、除去等作業は機械を止めてから行うべき作業であるため、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。


2) 「転倒」による災害

 1) 全体の約4割が床や地面で滑って転倒した災害、
 2) 障害物によりつまずいた災害が全体の約3割弱となっている。
 滑って転倒した災害の原因として、約半数が床や地面が濡れていたことによるもの、2割弱が床や地面が凍結していたことによるものとなっている。
 床の濡れや、床に置いた障害物などによる災害について、災害の概要を確認したところ、少なくとも約3割は4S(整理、整頓、清掃、清潔)を徹底していれば防止できたものと考えられる。


 対策

 4S(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底により、床面の濡れや通路に置いた荷物等、転倒災害につながるリスクを極力排除・低減すること。




(3) 「高温・低温の物との接触」による災害

 1) 熱湯により被災した災害が全体の約4割5分。
 2) 熱湯以外では、熱した材料により被災した災害が全体の約1割弱となっているほか、蒸気により被災したもの、冷凍庫における作業中の凍傷などもみられた。

 作業内容でみると、清掃、消毒、材料の湯せんなどにおける災害が多数を占めている。また、それほど数は多くないが、材料内に器具等を落としてしまい、これを拾おうとして被災したものもみられた。これらの災害において、耐熱手袋や長靴、長いエプロンなどを着用していれば防止できたと考えられるものは全体の約2割弱であった。

 対策

 ア 作業に当たっては十分な耐熱性能を有する手袋、長靴、エプロン等、身体を保護できるものを着用することが望ましいこと。

 イ 熱した原材料、生地等を直接触れるような行為は避けること。


 

(参考)
以上の災害分析の結果は、以下の通知されている。

厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長から都道府県労働局労働基準部長あて「パン、菓子製造業における労働災害防止対策の徹底について」(平成24年11月22日基安安発1122第5号)



労務安全情報センター
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塩酸貯蔵タンクの移設作業中にタンク内に労働者2名が転落し死亡

災害の概要

1 発生日時  平成23年8月24日(水)午前9時30分頃

2 発生場所  千葉県船橋市

3 被災状況  死亡2名

4 発生状況の概要

  災害発生事業場では、鋼板の錆を落とすための洗浄液として使用する塩酸の貯蔵タンクを屋外に設置しており、そのうちの2基のタンク(地上5mの架空タンク、横置型)を地上に移設する工事を行っていた。

  当該工事において、2基のタンクと別の塩酸タンクX(縦置型。高さ約3.4m、直径2.0m。FRP製)とを接続する配管を撤去するにあたり、当該配管をどの位置で切断できるか確認しておくよう、元方事業者の作業責任者が下請事業者の労働者Aに指示した。

  労働者Aは同タンク附属のはしごを使用してタンク上部に昇り、配管接続部へ移動しようとしたところ、タンク上部が割れ、タンク内に墜落した。
  同僚の労働者Bがこれを救助しようと塩酸タンクXの上部に乗ったところ労働者Bも墜落した。他の労働者が救助を要請するとともにタンクから塩酸を抜く等により2時間半後に救出したが、2名とも死亡していたもの。

 塩酸タンクX内にあった塩酸は濃度35%、深さ約2mであった。

(注)上記の災害概要等については現在調査中であり、確定したものではない。


(参考)
過去の同種災害の例

発生年月 平成14年4月
発生場所 東京都北区
被災状況 死亡1名、薬傷5名

災害発生状況
 塩酸タンク(高さ3.2m、直径2m、FRP製)の更新作業において、塩酸の引抜きのため上部開口部に耐酸ローリーのホースを設置する準備で、開口部ねじを開けようとして昇り、梯子がぐらついたため 、タンク上部に移った時、被災者自身の体重でFRPが破損し、落下した。タンク内部には1,050Lの35%塩酸が入っており、全身化学熱傷で死亡した。また、転落した被災者を救助しようとタンクから運び出し、全身に塩酸を浴びた被災者の体を支えた者も、作業服の上から塩酸がしみ込むなどして薬傷を負った。



発生年月 平成18年5月
発生場所 宮崎県延岡市
被災状況 死亡1名

災害発生状況
 排水中和設備タンクヤードに設置された塩酸タンク等の周辺に仮設した足場上で当日の電線管敷設工事を終了したので、足場上から降りる際、近くの塩酸タンクに附属の梯子があるのに気付き、そこから降りようとして足場からタンクの手すりにのぼり、FRP製の塩酸タンクの頂部に乗り移った際、タンク頂部が破損し、タンク内部に落下し、35%塩酸により薬傷した。(被災者死亡のため推定)



発生年月 平成18年8月
発生場所 愛媛県伊予市
被災状況 死亡1名

災害発生状況
 工場の操業停止に伴い、FRP製タンク(高さ約3m、直径約2.5m)に上がり、塩酸を除去する作業のため、天板状のマンホールのボルトの抜き取り作業中に、タンク上部の一部(天板)が抜け転落。タンクのなかに残っていた塩酸(35%。深さ約1m)で全身やけどとなり死亡したもの。




[再発防止対策]

 厚生労働省は、平成24年1月11日付けで厚生労働省労働基準局安全衛生部長から都道府県労働局長あて「平24.1.11付け基安発0111第2号」「塩酸等貯蔵タンクの保守点検・改修工事における労働災害防止対策の徹底について」をもって、上記の災害発生状況(あわせて同種災害の例)を明らかにするとともに、本件災害の再発防止対策を徹底を通知した。
(関係事業者団体への要請もあわせ実施。)


本災害の特徴等

○ 特定化学物質である塩酸を製造し、又は取り扱う設備であって移動式以外の物は特定化学設備に該当するが、特定化学設備の改造、修理等の作業は、小規模であるもの等一部の場合を除き、当該特定化学設備を所有等し、その管理権限を有する事業者が他の事業者に発注して行われることが多く、本件災害もこれに当たるものである。

対策

○ 発注者である特定化学設備を所有等し、その管理権限を有する事業者及び改造、修理等の作業を受注して実際に当該作業を管理監督する事業者それぞれが果たすべき役割等について下記のとおりとりまとめた。


                        記


1 塩酸等金属腐食性の液体の貯蔵に主に使われている強化プラスチック(FRP)製のタンクは耐腐食性に優れているものの、長期にわたり塩化水素等の腐食性のガスにさらされること及び屋外におかれている場合には紫外線にさらされること等から、経年劣化によりプラスチックとガラス繊維の剥離等により強度が低下することについて、当該タンクの管理権限を有する事業者が十分に認識し、タンクのメーカーから適正な検査方法についての必要な情報を入手するなどして、必要な点検、作業者への教育、請負人への情報提供等の実施を徹底すること。


2 経年劣化によりFRPの強度が低下することから、元方事業者及び請負人は、労働者等がFRP製タンクの天板等に乗ることのないよう、高所作業においては、適切な足場(作業床)を設置しなければ作業を行ってはならないことを徹底すること。


3 設備の保守点検・改修作業等を発注する者(以下「発注者」という。)は、作業に伴う危険性に係る情報をあらかじめ元方事業者に提供するとともに、当該危険性を踏まえた適切な作業が行われるよう指導すること。


4 発注者は、元方事業者が統括管理体制を確立し、各請負人の作業分担を明確化するよう指導すること。特に、各請負人が行う作業間の連絡調整等必要な措置を確実に実施させ、それぞれの作業で有害物による危険が生じない措置を元方事業者に講じさせること。


5 塩酸等を貯蔵する特定化学設備を所有等し、その管理権限を有する事業者は、法定の定期自主検査を確実に実施するとともに、定期に点検を行うことにより、設備の経年劣化を早期に発見するよう努めること。


6 作業中に予定されていない作業の必要が認められた際に、当該作業を行う請負人の判断に任せることなく、元方事業者との間において作業方法の検討を行う等の対応を予め取り決めておくこと。


7 関係事業者は災害発生時等異常な事態が発生した場合の救護体制の確立、訓練を行うこと。
 特に、二次災害の防止の観点を含め教育・指導を行うこと。



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