2014年02月01日

「パロマ湯沸かし器事故」で消費者事故調最終報告書(2014.1.24)

[パロマ湯沸かし器事故の概要]

(発生状況)

 平成17(2005)年11月27日(日)、東京都内の3階建て住宅において、風呂に給湯するためにガスが湯沸器を使用したところ、不完全燃焼による一酸化炭素発生した。
 翌28日(月)、居住者であるA氏(18歳、男性)の死亡が確認され、また、その兄であるB氏(24歳、男性)も重症を負った。
 
 当該ガス湯沸器の電源プラグは、普段使用していた東側洋室の埋め込みコンセントに接続した延長コードのコンセントから抜けていた。
 正常であれば安全装置によって点火・燃焼しないはずであったが、排気ファンが回転しない状態でもガスが燃焼するよう改造されていたために一酸化炭素が発生したものであった。

(原因)

 湯沸かし器の修理時に安全装置が不正改造された。不完全燃焼でCOが発生。
パロマ事故見取り図.JPG
パロマ湯沸かし器事故ー消費者事故調最終報告書(2013.1.24付け)

http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/140124_gaiyo.pdf (概要)
http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/140124_honbun.pdf (本文)

 最終報告書まえがきから

 本評価書は、消費者安全法第24 条第1項に基づき、消費者安全調査委員会により、生命身体に係る消費者被害の発生・拡大防止や被害の軽減を図るため事故の発生原因や被害の原因を究明することを目的に、経済産業省が取りまとめた「製品安全対策に係る総点検結果とりまとめ〜パロマ工業株式会社製ガス瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒事故への対応を踏まえて〜」とその後の状況について消費者安全の視点から検証したものである。
 なお、消費者安全調査委員会による調査又は評価は、事故の責任を問うために行うものではない。
 消費者安全調査委員会
 委員長 畑村洋太郎


[編注、コメント]

 パロマ工業製ガス湯沸かし器によるCO中毒事故は1985年以降、28件発生し21人が死亡した。
 今回の最終報告書は、消費者安全調査委員会の発足後、はじめてとなる。調査開始から1年3月、事故調としての独自調査は行われていない。
 本件事故については、刑事事件、民事損害賠償の裁判も既に確定している。最終報告書は、今後に備えて、事故を様々な角度からを整理している点は評価できようが、一方、「インパクトに欠ける」感もぬぐえない。

ー参考ー
 (刑事事件)
 東京地検が07年12月、パロマの元社長と元品質管理部長を業務上過失致死傷罪で在宅起訴。東京地裁は10年5月、「パロマ側が機器の点検・回収という安全対策を講じていれば、事故は防げた」として、2人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。2人は控訴せず一審判決が確定した。

(民事損害賠償事件)
 東京地裁判決は「事故を予想できた」としてパロマの過失を認め、パロマと修理業者に計約1億2千万円の支払いを命じた。



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2013年06月03日

セメント・同製品製造業における「はさまれ、巻き込まれ」災害の特徴と対策について

以下は厚生労働省による
セメント・同製品製造業における「はさまれ、巻き込まれ」災害分析結果

セメント製品製造業の災害事例.JPG
 ↑ 表は、水産食料品製造業における平成24年9月末時点における速報の労働災害



1)  機械による災害、コンベヤーによる災害

○ 混合機、粉砕機など、機械による災害は全体の約3割。うち約3分の1が機械を止めないまま点検作業等を実施したことによるもの、約12%が機械の近くに被災者がいることに気づかず機械を稼働させた等、機械を操作する際の連絡不備によるものであった。

○ コンベヤーによる災害は全体の約14%。うち約4割が機械を止めないまま点検作業等を実施したことによるものであった。


 対策

 ア 機械の点検、掃除、修理等の作業を行う場合には、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。

 イ 機械を操作する際には、当該機械の近辺に作業者がいる可能性があることに留意し、作業者がいる場合には機械を稼働することを着実に当該作業者に伝達した上で機械を稼働させる等、作業者間の確実な連絡を徹底すること




2)  ミキサー車による災害

○ ミキサー車による災害は全体の約1割。うち4割近くがシュートの取り付け又は収納に際してシュート部分にはさまれた災害であった。
○ また、3割強がドラムを止めないまま点検等作業を行ったことによる災害であった。この中には、ドラムを停止させたつもりで実際は完全に停止してはいなかったために被災した事案も散見された。


 対策

 ア 荷卸しシュートの取り付け、収納の作業に当たっては、シュートの折りたたみ部分やシュートとシュート格納部分との間ではさまれる災害が多いことから、シュートの取り付け、収納に係る安全な作業手順を定める等、シュートによるはさまれ、巻き込まれを防止するための措置を徹底するこ と。

 イ ドラムの点検、掃除、修理等の作業を行う場合には、ドラムを止め、確実に回転が止まったことを確認してから作業を行うこと




3)  クレーンによる災害

○ クレーンによる災害は全体の約1割。うち約4割が玉掛け作業等により被災者が吊り荷の側にいることに気づかずクレーンを稼働させた等、連絡不備による災害であった。


 対策

 ア クレーンを稼働させる際には、吊り荷の近辺に作業者がいる可能性がある旨留意し、作業者がいる場合にはクレーンを稼働することを着実に当該作業者に伝達し、稼働方向に作業者がいないことを確認した上で機械を稼働させる等、安全確認(指指呼称)及び作業者間の確実な連絡を徹底するこ と。

 イ 大きな荷等の誘導は、ロープ等を使用し、作業者に荷からの距離を取らせること




4)  その他

○ 上記のほか、型枠による災害が全体の約1割、製品(半製品含む。以下同じ。)による災害が全体の約1割であった。
○ 型枠による災害のうち約3分の2が型枠の組立や解体(製品の取り出し中含む)における災害であり、約3分の1が型枠の清掃作業中における災害であった。
○ また、製品による災害は、製品の荷卸しやクレーン等での移動中にはさまれる、といった災害が多く見られた。


 対策
 
 ア 型枠を組む際、あるいは型枠から製品を取り出す際などにおいて、型枠の側板等に手などをはさまれるリスクがあるので、側板が動く場所や型枠が閉まる場所など、はさまれが発生するおそれのある場所に手を添える等、不安全な状態での作業は避けること。

 イ 荷積み、荷卸しも含め、製品を動かす際には、製品によりはさまれるリスクがあるので、例えば、円筒形の製品が転がらないように輪止めを使用する、倒れやすい不安定な状態で製品を置かないようにする、といったような、極力製品等にはさまれるリスクを低減した作業方法をとること。

 ウ 現在行っている作業についてのリスクアセスメントを実施すること。特に、機械を使用する作業について、使用する機械等のリスクアセスメントを実施し、その作業におけるリスクを特定し災害防止対策を講じること





(参考)
以上の災害分析の結果は、以下の通知されている。

厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長から都道府県労働局労働基準部長あて「セメント・同製品製造業における労働災害防止対策の徹底について」(平成24年11月22日基安安発1122第1号)



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「水産食料品製造業における労働災害」の特徴と対策について

以下は厚生労働省による
「水産食料品製造業における労働災害」の分析結果
水産食料品製造業の災害.JPG

 
 ↑ 表は、水産食料品製造業における平成24年10月末時点における速報の労働災害



1)  「転倒」による災害

○ 全体の5割強が床や地面で滑って転倒した災害、障害物によりつまずいた災害が全体の2割強となっている。滑って転倒した災害の原因として、床や地面が濡れていたことによるもの、床や地面が凍結していたことによるものがともに3割強となっている。
○ 床の濡れや、床に置いた障害物などによる転倒災害について、災害の概要を確認したところ、少なくとも約4割は4S(整理、整頓、清掃、清潔)を徹底していれば防止できたものと考えられる。


 対策

 ア 4S(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底により、床面の濡れや通路に置いた荷物等、転倒災害につながるリスクを極力排除・低減すること。

 イ 床面を水洗いした場合は、水濡れはすぐに除去するようにすること。

 ウ 履物について、滑りにくいものを使用するとともに、靴底の摩耗状況を確認し、滑り止めの効果が低下しているものは交換すること




2)  「はさまれ、巻き込まれ」による災害

○ 機械(食品加工用機械、ロール機、コンベヤー等)及びその一部(機械の駆動部、ベルト、ギア等)にはさまれる、あるいは巻き込まれる災害が全体の7割強を占めている。
○ これら機械による災害について、作業別にみると、機械の清掃作業中の災害が約3割、機械に付着した魚の骨やヒレ等を除去する作業中の災害が約4分の1、機械の修理・調整・点検中の災害が1割強と、いわゆる「非定常作業」における災害が全体の7割弱を占めている。
○ 機械による災害の要因としては、機械を止めないまま点検、修理、清掃等を行って被災した災害が約6割を占めている。その他、機械の誤操作により被災した災害が1割強となっている。
○ また、工場内を移動中にバックしてきたフォークリフトに轢かれた災害や、機械に挟まった魚を除去するため機械を止めて作業を行っていたところ別の作業者が除去作業中であることに気づかずに機械のスイッチを入れてしまい被災した災害など、作業員間の連絡不備による災害が全体の約1割みられた。


 対策

 ア 刃物部分のガードを外す等、安全確保の観点から不適切と思われる方法での機械の使用はしないこと。

 イ 機械の点検、掃除、修理等、非定常作業を行う場合には、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。

 ウ 機械に魚の骨やヒレ等が付着したような場合に、これを除去する作業(以下「除去等作業」という。)は、通常の作業中に発生するケースもあり、特にそういうケースにおいては機械を止めずに作業を行ってしまいがちであるが、本来、除去等作業は機械を止めてから行うべき作業であるため、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと




3)  「切れ、こすれ」による災害

○ 食材の加工・調理中の災害が全体の約7割を占めている。また、機械(食品加工用機械、ロール機、コンベヤー等)及びその一部(機械の刃の部分等)による「切れ、こすれ」災害が7割強を占めている。
○ 機械による災害のうち、バンドソーによる災害が少なくとも3割強を占めている。バンドソーによる災害のうち、その8割以上が、冷凍マグロ等の冷凍魚をカットする作業で手が滑り、バンドソーの刃の部分が手に触れてしまい被災する、というものであった。
○ 食材の加工・調理以外の災害では、機械に付着した魚の骨やヒレ等を除去する作業中の災害が全体の1割強を占めており、清掃、点検、修理等も含めたいわゆる「非定常作業」における災害が全体の2割強であった。


 対策

 ア 刃物部分のガードを外す等、安全確保の観点から不適切と思われる方法での機械の使用はしないこと。

 イ 機械の点検、掃除、修理等、非定常作業を行う場合には、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。

 ウ 除去等作業は、通常の作業中に発生するケースもあり、特にそういうケースにおいては機械を止めずに作業を行ってしまいがちであるが、本来、除去等作業は機械を止めてから行うべき作業であるため、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。

 エ バンドソー等を使用しての冷凍魚の加工・整形作業については、冷凍魚が滑ったはずみでバンドソー等の刃部分に手等が触れるリスクがあることに留意し、バンドソーの歯の切断に必要な部分以外の部分に覆いを設けること。更に、メッシュ手袋等の保護具を着用する等、リスクの低減を図ること




その他の対策

 現在行っている作業についてのリスクアセスメントを実施すること。特に、機械を使用する作業について、使用する機械等のリスクアセスメントを実施し、その作業におけるリスクを特定し災害防止対策を講じること




(参考)
以上の災害分析の結果は、以下の通知されている。

厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長から都道府県労働局労働基準部長あて「水産食料品製造業における労働災害防止対策の徹底について」(平成24年12月21日基安安発1221第2号)



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